東京都町田市/Machida city, Tokyo
写真・資料=まち☆クリ実行委員会/Photo & Data by MACHI ☆ KURI Executive Committee
Turn off the graffiti on the wall and turn the wall into an art gallery. "Machida Altamira Street project"
町田駅北口を出て歩くこと5 分、ドン・キホー テの横の薄暗い路地裏に突如現れるストリー トギャラリーがある。この場所に似つかわしく ない、その通りの名前は「まちだアルタミラス トリート」。この通りは、以前は落書きが溢れ、 通ることをためらいたくなる場所であった。こ の状況を改善しようと、地元の有志による活 動「まち☆クリ」が立ち上がり、住民主体で落 書き消しを行い、ストリートギャラリーがつくら れるまでにいたった物語を紹介する。
1st ステップ
まち☆クリとは ~街にあふれる落書き~
人と人が行き交い活気溢れる「町田」は「西の歌舞伎町」と呼ばれ、 賑わいの反面、治安の悪い街とも言われていた。当時の町田市が行っ た市民意識調査での不満の第1 位は「治安が悪い」であった。そこで 2013年に一般社団法人町田青年会議所が治安向上事業として「まち ☆クリ ~町田クリーンアップ作戦~」を立ち上げ本事業はスタートし た。2016年には、一般社団法人町田青年会議所から「まち☆クリ実 行委員会」へ事業が移管され、市民団体である「まち☆クリ実行委員 会」が主導し事業を実施している。
治安が悪いというイメージは、「落書き」等がされていたりすること による「体感治安」が大きく影響している。2013年当時、町田駅周辺 の市街地には、「落書き」や「ステッカー」が多く存在し、それらが放 置されてしまっている状態であった。この状態をこのまま放っておいて は、今後イメージが良くなっていくどころか実際の犯罪率の上昇にも 繋がりかねない。
「愛の反対は憎しみではなく無関心である byマザー・テレサ」 自分達が住み暮らす地域に関心を持つこと、地域を愛する想いを持 つことで、より安心して暮らせる場所に変化させることができる。「ま ち☆クリ」とは、「落書き」を消すという活動を通じて、そのような意 識をもってくれる仲間を増やし、「街を変える」人を育てていく事業で ある。
2nd ステップ
ゲリラ的な展開 ~実践からはじめる~
2013年にはじまった「まち☆クリ」は、当初は志に賛同してくれる仲間 で集まり、小さな規模でスタートした。活動を続けていくなかで、落書き を消している際に声をかけてくれた一般市民の方なども多数参加をして 頂けるようになり、当初は70人程度ではじまった事業も、2013年の最後 の回には172人にまで参加人数が増えていく活動となった。
当時、公共物の落書きを消すといった活動事例は他団体でも行ってい たが、民有地の落書きまでを消す活動はあまりみられなかった。「まち☆ クリ」では、建物の所有者との交渉を重ね、落書きを消す為の承諾書を 取り交わし、「民有地」の落書きを消すことに取り組んだことも、この活 動の特徴の一つである。
その後、「まち☆クリ」は多様な展開をみせた。地元のプロサッカー チームである「FC町田ゼルビア」「ASVペスカドーラ町田」をはじめ、地 元アイドルグループや地元企業など、町田で活躍する多くの方々が、一 緒に「まち☆クリ」を盛り上げようと積極的に参加頂けるようになった。ま た、地元の都立高校生も参加してくれるようになり、この高校生による取 り組みは東京都で新しく設けられた教科「人間と社会」の教科書でも取り 上げられている。これらの積み重ねにより、開催規模は大きくなり、2016 年には最大750人の参加者が集まり、これまで延べ3,883人の方々に 参加頂ける事業となった。
2013 年から2018 年まで 延べ3,883 人の地域の手が 街中の落書きを消した。 3rd ステップ
まち☆クリの転換期
街の落書きは確実にその数が減っていく一方で、「まち☆クリ」で 消すための落書きがなくなるというジレンマに陥ることになる。そのよ うな中「まち☆クリ」は新たな転換期を迎えることになる。それはアート との融合であった。「落書き」を消した部分をキャンパスとして、街の 新たな魅力になるようなアートを設けたいと考えた。2013年に小規 模であるが「落書き」を消した部分に期間限定でアートを展示するとい う取り組みを行ったのが、その芽生えであった。しかしその後は、地元 出身の有名アーティストとのタイアップなど様々な手法を模索したが、 著作権やビジネス上の問題などで実現には至らなかった。
そこで私たちは、著作権フリーで誰もが見たことのあるもので、 アートギャラリーに変える場所にふさわしいものは何かを意見交換し、 世界最古級の壁画と言われている世界遺産のスペインのアルタミラ洞 窟壁画の案が上がった。また、落書きが多く書かれている路地裏の薄 暗い環境が、洞窟の環境に類似していることも、場所のもつポテン シャルを活かすことになると考えた。そこで、スペイン政府観光局に 伺い、事業目的を説明したところ、壁画利用の承諾を頂けるとともに、 本事業に対するスペイン政府観光局の後援を頂けるまでになった。地 域での取り組みの継続が、グローバルへと繋がっていく、そんなこと を体感した瞬間であった。
4th ステップ
「地元お祭りへの出店」と 「クラウドファンディング」による資金調達
ここで「まち☆クリ」事業を進めていくうえでの、資金源について触 れておきたい。「まち☆クリ実行委員会」は、活動の目的に賛同してく れる地元の有志により構成されているボランティア団体である。会費 等も特に徴収していない為、資金源は常に課題となる。
私達の活動資金の多くは、地元で開催されるお祭りや各種スポーツ 大会等に模擬店を出店し、活動の紹介とあわせて、綿菓子、焼き鳥な…